夕刻になり、トレッカーが何人かチェックインしてきて台所は忙しくなった。このロッジも家族経営で、おかあさんがたくましく張り切っている。
若い娘さん2人を大声で叱咤しながら、フライパンを慣れた手つきで振り回している。
ロッジの女性達が大忙しで動き回っているころ、
当主のおとうさんは、
庭先でテレビのアンテナ設置に夢中だった。
今日はこの家庭にテレビが入る記念すべき日のようだ。
おとうさんは、まるで子供のように全身をほころばせていた。
業者らしき人が来てアンテナをセッティングしていたが、電気のアンペアが足らないせいか途中で食堂の電気も消されてしまった。
頼んでいたカメラのバッテリー充電も途中でほったらかしだ。
トレッカーなんか完全に後回し。
おとこ達はお隣さんまで集まってテレビを囲んで、ああだこうだとやっている。
その電気屋さんも大変だ。
どっから来たかは知らないけれど、この村に車は来られない。
車が入る麓の村からは歩いてたっぷり2日はかかる。
テレビやアンテナは、人やロバの背中に乗せて峠を越えてきたのか?
その電気屋さんやお隣さんにお茶や食事まで振る舞っている。
もちろん用意したのは、娘さんだ。
おとうさん、本当にうれしいんですね。
良いテレビだねと褒めたら、にこにこしながら、家族のプライベートな部屋に案内してくれた。
そのテレビは4、5人で目一杯の部屋の真ん中に鎮座していた。
このやつはインドのテ レビも見ることが出来るって身振り手振りでうれしそうだ。
ちょうどやっていたのは、西ネパールの紹介番組とドタバ タコメディー。
まあ大した番組をやっているわけではなさそうだけど。
この時は、家族みんな寄ってきて誇らしげだ。
なんでもネパール人が欲しい物として一番目はベッド。二番目は煮炊きが出来るキッチン。三番目は鍵のかかるタンス。
四番目がテレビだということらしい。
衣食住が落ち着けば次はテレビということか。
ネパールの山村も徐々に変わって来ています。
チョムロンからガンドルン、へ
