キャンプを出発しようとすると、1名の黒人系の男が我々の車に一緒に乗り込んできた。
マアミドまで同乗したいとの事だった。
そういえば、昨日の闇夜の大宴会にもいつの間にか同席して美声を唸らせていた。
我々の車に便乗するのは一向に構わないが、彼はここまでどうやって来たというのか?
こんなところをどんな目的で旅してるのか?

そんな彼を同乗させて、見渡す限りの荒れ地を走った。
時々ラクダの群れが悠然と歩いている。
2時間余り走って、マアミドに到着した。
砂に攻められて疲れ果てたような村だった。

ここが、文明と砂漠の境界地点だ。
村の郊外に幾重にも作られた防砂柵がすっかり砂に埋もれている。
ほとんどもう役に立っていない。
村中が砂に覆われて、負けそうになっている。
オアシスの村と言うにはあまりに砂っぽく潤いというものが見当たらない。
今は乾期だ。それもこれから盛夏を迎える時だ。
あまりに頼りない。
多少なりとも水が来るのはまだまだ数ヶ月先のことだ。
それまでは、灼熱の太陽と乾燥したサラサラの砂に対抗しながらの生活なんだろう。
しかし、なんでそれまでして、ここで生活するんだ。
ノマド(遊牧民)の定着化が進んでいるという。
砂漠の真っ只中での放牧生活よりは、マアミドの村の方が生活しやすいというのか?
そういえば、砂漠のキャンプで会ったノマドの兄ちゃんもここまで来てEメールをするという。
日本での生活から考えるとかなりのアンバランスだ。
このマアミドからは頼りないながらも、車1台が通れる簡易舗装の道がザゴラまで続いている。
文明社会への道だ。
そして文明社会を象徴するかのように、やたら電柱と電線が村中を駆けめぐっていた。

(マアミドの肉屋。さばきたてのヤギを無造作に店先に並べている。商品はそれだけ。)
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