ドングリ王国 ペっぽこ2人旅

ドングリ王子とぺっぽこ姫の 彼方此方すったもんだの揚げ句の気侭自由旅

ザゴラからマラケシュへ 6月22日

マラケシュ行きのCTMバスは19時発の1本だけ。
来た時と同じ夜行になるので、バスを諦めてグランタクシー乗り場へ行った。

そこで声をかけてきた男がいた。上手な英語をあやつる彼の名はヨーゼフ。
ここモロッコで流ちょうな英語をしゃべる人は少ない。
グランタクシー乗り場で、客引きをしている手配師のような男だった。

グランタクシーとは、大型セダンのタクシー。
それに6人の客を乗せて走る乗り合いタクシーとして使われている。

大型セダンとはいえ、ここはモロッコ。
ボロボロ、ガタガタでもちろんエアコンなど付いていない。
シートはやぶれかぶれで車体もボコボコ。
それでも、エンジンだけはなんとか回っている。

そんな車に6人乗りで、丸一日はさすがにきつい。
そのヨーゼフを通じて、グランタクシーをチャーターすることにした。
我々2名での貸切だ。これで、途中で立ち寄ることも出来る。

我々のスケジュールは、ザゴラからワルザザード近くのアイト・ベン・ハッドゥをちょっと見て、マラケシュまで走る。
距離にして400キロ余り。
途中アトラス山脈越えもある。
ハードな移動だけど、貸切なら正味6,7時間だろうと考えた。

そのヨーゼフは前金400ディルハムをホテルへ集金に来るという。
残金1000ディルハムは、マラケシュ到着時に運転手へ払うという条件にした。

夜、彼はホテルへやって来た。
そしてもっと好条件を出してきた。

「マラケシュ在住の知人が今、ザゴラにホリディで来ている。
明日マラケシュへ帰るのでそれに便乗出来る。
トヨタ車の4駆で、もちろんエアコン付きだ。
料金は同じで良いよ。 
いい話だろ?」

ヨーゼフにとっても、通常の手配以上のお金が残るだろうし、
そのマラケシュから来ているその男にとってもガソリン代プラスアルファが手に入る。

3方ともいい話だった。即決で乗った。


翌22日の朝、9時にロビーで待ち合わせをした。

ところが、ヨーゼフは来たが、肝心のマラケシュへ帰るというその男が来ない。

ヨーゼフはなにやら携帯電話で、けっこうシリアスな顔をしてやり取りしている。
肝心の車がドタキャンらしい。うまい話はこうなるもんだ!

ヨーゼフは、
「だからモロッコ人は信用ならない。
俺のようなベルベル人は誠実なやつが多いんだ」と変な言い訳を繰り返した。

ヨーゼフはそれでも元々の案に従って、
改めてグランタクシーを手配し、ホテルを出発した。結局10時半出発。

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もちろんボロでエアコンなし。窓を開ける取手は両側とも折れていている。
すっかり汚れてスモークガラスと化している窓はびくとも開かない。

スペアタイヤなんてもちろん積んでいない。
運転手は、さすがにやばいと思ったのか、
町ですれ違った同僚らしきグランタクシーを捕まえてスペアタイヤを借りていた。

昼間見るドアラ谷の風景はすばらしかった。

川はほとんどワジとなって河床が見えている。
しかしドアラ谷に沿って緑が続く。

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遠方の山は赤茶けて斜めに大きく地層の断面を見せている。
砂ぼこりがきつい。
みずみずしいはずの緑の木々がすっかり砂まみれで白っぽくなっている。

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オーバーヒートとノッキングを繰り返しながら、ヨタヨタと荒れ山の峠を越えてワルザザードへ、
そしてアイト・ベン・ハッドゥへ到着。
午後3時を過ぎていた。

遅めの昼食を済ませて、アイト・ベン・ハッドゥを見学。

4時半に出発し、そのボロタクシーで夕刻のアトラス越えてマラケシュへ向かう。
まだまだ、暑い。
風邪っぽく熱もあるのか、体がモワモワしてくる。
暑いのに寒気が襲ってくる。

ボロボロのその車は、お陰でスピードが出ない。
丁寧というよりは、のそのそヨタヨタとコーナーを一つずつクリアーして高度を上げていく。
峠は、2千メートルはあるのだろうか。
どんどん高度を上げていく。
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来た時と同じ道を帰っているのだが、その時は真夜中だったのでほとんどなにも見えなかった。
今は、遠くの山々も近くの断崖絶壁もよく見える。

アトラス山脈の南側は穏やかな牧歌的な村々が続くが、北側は急坂の連続になる。
その急坂をクネクネと下って下ってなおも下る。

やっと平地らしき道になる頃には、すっかり真っ暗になっていた。

なおも走って、真っ暗な中で前方の地平線に町の光りが明るくなってきた。
やっとマラケシュへ到着したのは、夜10時を過ぎていた。

最初に目星をつけていたホテルは、満室で断られ、
やっと探したホテルにチェックインしたのは、11時になってしまった。

結局12時間あまりのグランタクシーの旅になってしまった。

その上、体中が熱っぽい。
熱いシャワーを浴びていても、鳥肌が立ち、震えも来た。

どうやらこの暑いところで風邪をしっかり引いてしまったようだ。

アイト・ベン・ハッドゥ、へ

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