今は、人口2,3万程度の小さな静かな町だが、
16世紀に興ってスーダン、マリまで勢力を広げたサアード王朝の最初の都となった町だ。
町を囲む様に城壁が残っている。
大した観光スポットもなく、大西洋岸から内陸の砂漠へと行く西洋人ツーリストが通過していくだけの静かな町になっている。

我々は、どこかモロッコの田舎の町を訪れようとこの町をなんとなく選んだ。
これは、大正解だった。

この町では、なぜか人が必要以上に優しく親切だった。
町を歩いていると理由もなく挨拶してくる。
これまでの町では何か魂胆があった。がらくたを売りつけたり、ガイドの押し売りだったりとか。
それが、この町では挨拶そのものが目的のようだった。
「タルーダントへようこそ」
そして二言目には「タルーダントが気に入ったかい?」
なにか町おこしの一環の「旅人に親切にしよう強化月間」はたまた「1日1回ツーリストに挨拶しよう運動」か?
みんな気持ち悪いくらいに笑顔が素敵でもあった。
初めは、ひょっとして街中みんなで我々を騙しているのかと身構えていたが、
いつの間にかすっかりなじんで5泊もすることになった。
大した観光スポットこそないものの、落ち着いていて、人の生活感がプンプン匂ってきた町でもあった。

町には多くのモスクがあり、日に5回あちこちのモスクからアッラーへの礼拝を促す大音響の放送が流れてきた。

アッラーアクバル・・・(アッラーは偉大なり、アッラー以外に神は無し・・)
多くのモスクから、その時間になると同時に大音響のスピーカーで放送する。
まるで、大晦日に町のあちこちからの寺から除夜の鐘が聞こえてくるようなものだ。
タルーダントの街角、へ
